NTTドコモビジネスが仕掛ける業界別AIエージェント革命｜20種のエージェントが変える企業DXの新常識

2025年6月19日、NTTドコモビジネス（旧NTTコミュニケーションズ）が新たな企業向けソリューションを発表した。エクサウィザーズとの資本業務提携により開発された「20種のAIエージェントを活用した業界別ソリューション」だ。これは単なる汎用AIツールの提供ではない。業界特有の課題に特化したエージェントが、企業DXの新たな可能性を切り開こうとしている。

汎用AIから特化型エージェントへのパラダイムシフト

多くの企業が抱える共通の悩みがある。「生成AIを導入したが、業務プロセスに組み込めない」「期待した効果が得られない」—— これらの課題の根本原因は、汎用的なAIツールと実際の業務現場とのギャップにある。

NTTドコモビジネスのスマートワールドビジネス部が提示した解決策は明確だ。業務理解に優れたAIエージェントを、業界別・職種別に最適化して提供することで、導入から効果創出までの時間を大幅に短縮する。

エクサウィザーズとの戦略的提携の意味

この取り組みにおいて重要な役割を果たすのが、2016年設立のAI専門企業エクサウィザーズだ。同社の春田真代表取締役社長CEOは「お客さまが自らAIエージェントを作り、使いこなして生産性を上げていける世界をめざしています」と述べている。

両社の提携は単なる技術連携ではない。NTTドコモビジネスの豊富な顧客基盤と、エクサウィザーズの業務特化型AI技術を組み合わせることで、従来の「とりあえずAI」から脱却し、実際のビジネス価値を生み出すソリューションを構築している。

20種のAIエージェントが描く業務変革

今回発表された20種のAIエージェントは、それぞれが特定の業界・業務に特化している。従来の汎用チャットボットとは根本的に異なり、業界固有の業務プロセス、専門用語、規制要件を理解した上で動作する。

例えば、製造業向けエージェントは品質管理プロセスや安全基準を理解し、金融業向けエージェントは各種規制やコンプライアンス要件を考慮した提案を行う。これにより、導入企業は専門知識を持つ人材を投入することなく、即座に実用的なAI支援を受けられる。

業務プロセス組み込みの新アプローチ

従来のAI導入では、「AI用の新しい業務フロー」を作る必要があった。しかし、この業界別ソリューションでは逆のアプローチを取る。既存の業務プロセスにAIエージェントを自然に組み込み、現場の作業者が意識することなくAIの恩恵を受けられる設計になっている。

これは特に中堅・中小企業にとって重要な価値提案だ。大企業のように専門のDX部門やAI人材を抱えることが困難な企業でも、業務特化型エージェントにより即座にAIの恩恵を享受できる。

「生成AIを使ってみる」から「生成AIで変革する」へ

NTTドコモビジネスの福田亜希子部長が説明会で強調したのは、企業の生成AI活用が新たなフェーズに入ったということだ。「生成AIを使ってみる」フェーズから「生成AIを業務に組み込む」フェーズへの移行において、多くの企業が壁にぶつかっている。

この壁を乗り越えるために必要なのは、業界特有の文脈を理解したAIエージェントだ。業界用語、業務フロー、品質基準、規制要件—— これらすべてを理解したエージェントであれば、現場の作業者は特別な訓練を受けることなく、自然にAIと協働できる。

企業の競争力強化への道筋

20種のAIエージェントによる業界別ソリューションは、単なる効率化ツールではない。企業の競争力そのものを再定義する可能性を秘めている。

業務の自動化により創出された時間は、より創造的で戦略的な活動に振り向けることができる。また、AIエージェントが蓄積するデータは、業務改善や新たなビジネス機会の発見につながる貴重な資産となる。

最も重要なのは、このソリューションが「AI人材不足」という日本企業共通の課題を解決する点だ。専門知識を持つAIエージェントがあれば、企業は高度なAI人材を確保することなく、AIの恩恵を最大限に活用できる。

NTTドコモビジネスとエクサウィザーズの取り組みは、日本の企業DXに新たな可能性を示している。業界特化型AIエージェントという新しいアプローチが、どのような変革をもたらすのか。その答えは、これからの企業活動の中で明らかになってくるだろう。

引用元URL: https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2025/0619.html

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