NECとGoogle CloudがAIエージェントで戦略的協業 - A2Aプロトコルで実現する次世代AIエコシステム

AIエージェント同士が「会話」する時代が、いよいよ現実のものとなる。

2025年8月5日、東京ビッグサイトで開催された「Google Cloud Next Tokyo '25」で、NECとGoogle Cloudの画期的な協業が発表された。この提携の核心は、異なるAIエージェント同士が協調して働く「AIエコシステム」の構築にある。

A2Aプロトコルが切り拓く新たな可能性

今回の協業で最も注目すべきは「A2A（Agent to Agent）プロトコル」の活用だ。これは異なるAIエージェント同士が共通のルールで対話し、連携するためのオープンなプロトコル。すでにMicrosoft、Amazon、Oracleなど世界的なハイパースケーラーがサポートを表明している。

従来、各企業が独自に開発したAIエージェントは、まるで異なる言語を話す人々のように、相互に連携することが困難だった。A2Aプロトコルは、この「言語の壁」を取り払い、AIエージェント同士がシームレスに協働できる環境を実現する。

例えば、営業支援AIが顧客データを分析し、その結果を在庫管理AIに伝え、さらに物流AIが最適な配送ルートを計算する。こうした複雑な業務フローが、人間の介入なしに自動的に実行される世界が目前に迫っている。

日本企業の強みを活かした実践的アプローチ

NECの強みは、多様な業種・領域での豊富な導入実績と、そこで培った実践的な知見にある。一方、Google Cloudは基盤モデル「Gemini」や世界水準のAI技術開発力を持つ。この両社の強みを組み合わせることで、理論と実践が融合した、真に使えるAIエージェントが生まれようとしている。

特に興味深いのは、NECが採用する「クライアントゼロ」というアプローチだ。まず自社で最先端技術を実践し、その「活きた経験」を顧客に提供する。NECは実際に社内業務でVertex AI SearchやGoogle Agentspaceを活用し、その知見を基にA2A対応のAIエージェント開発を進めている。

マルチエージェント時代の幕開け

Google Cloudの平手智行日本代表は基調講演で「AIエージェントが業務の実行主体となり、商品やサービスを市場へリリースする時間の短縮や、新たな付加価値の創出に貢献する」と述べた。

これは単なる効率化の話ではない。AIエージェントが情報収集の横断化、エンドツーエンドの業務実行、スキル不足の解消という3つの価値を同時に実現することで、企業の競争力そのものを再定義する可能性を秘めている。

日本企業がグローバル競争で勝ち残るために必要なのは、最新技術の導入だけでなく、それを自社の文脈に落とし込む実践力だ。NECとGoogle Cloudの協業は、まさにその両輪を回す取り組みといえるだろう。

引用元URL: https://jpn.nec.com/press/202508/20250805_01.html

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